にっき

山登りの合間に人生をしている

歩いて天国に行った ②薬師沢〜雲ノ平

「雲ノ平 急登 つらい」でググりまくっている人(私)への情報提供編。

 

続きです。

前回: 歩いて天国に行った ①折立〜薬師岳 - にっき

f:id:eie0x0:20190921185925j:image

2日目、薬師岳山頂に別れを告げ、また太郎兵衛平に到着。あっという間に遠くになる薬師岳。上品で堂々たるその姿、やっぱりかっこいい。

f:id:eie0x0:20190921185747j:image

ヨツバヒヨドリ?がまだ咲き残っていますね。本日も快晴なり。

そういえば、どの地点からかわからないけどドコモ回線でも薬師沢付近で気付いた時には圏外で、雲ノ平一帯を抜けるまでずっと圏外だったので、太郎平出たあたりで翌日まで連絡取れない旨、家族などに一報入れておくのが吉です。次に電波入ったのは確か祖父岳山頂だった。祖母岳じゃ繋がんない。あとなぜか知らんが雲ノ平はソフトバンクだけ電波が入る。弱いながらも入ってた。ドコモユーザー、屈辱の体験。

 

まずは薬師沢を目指して歩きます。
f:id:eie0x0:20190921185819j:image

しばらくは木道で、気分はもう雲ノ平。草紅葉が美しく始まっており、ご機嫌なトレッキングが続く。山はすっかりもう秋だな〜
f:id:eie0x0:20190921185805j:image

…っていうウキウキだけならいいんだけど、私は分かってるんですよ。薬師沢から雲ノ平に出るまでの延々と続く湿った岩場の直登2時間が無茶苦茶辛いらしいという前評判を…

山行前からずっとこの急登に怯えて感想をググり倒し、散々地獄のイメトレを重ねてきた。天国に行く前には地獄を経験せねばならない。人生。

でも薬師沢まではウキウキトレイルだから…。沢まで降った分は当然また登らねばならないという鉄則をいったん脳内から排除して歩きます。

 

しばらく進むと薬師沢の手前にカベッケが原があります。そう、『黒部の山賊』でカッパが出るという、あのカベッケが原!聖地巡りだよ聖地巡り。カッパ絶対見つけたると意気込んでキョロキョロしながら歩くと、視界の端で黒い影がサッッと動く!

カッパ???


f:id:eie0x0:20190921185830j:image

えっ!
f:id:eie0x0:20190921185825j:image

オコジョ!!!!!!!
f:id:eie0x0:20190921185808j:image

かわいいーーー!!!!
f:id:eie0x0:20190921185801j:image

こっちに興味津々の様子で、木道の下を出たり入ったりしながら何こいつ?みたいな顔で何度も覗き込んでくる。逃げないのね!おててかわいいねー!!

はじめての野生のオコジョとの対面で大興奮。たまんねー!その後すれ違う人々に満面の笑みでオコジョ情報を伝達する単独行女。みんなもオコジョに会えてるといいな。

 

オコジョとの出会いでHPがフル回復し元気に薬師沢小屋に到着。早めのお昼ごはんは富山のSAで購入したますの寿司。
f:id:eie0x0:20190921185822j:image

これはオススメ山飯ランキングを塗り替えるかもわからんね!

本場のますの寿司は基本的に常温保存前提で、3日くらいは余裕で日持ちしました。なんと言っても山でお寿司が食べられる嬉しさよ。テンション上がる。

特にこの商品は4種類小分けになっていて、飽きもこないし、お腹空くタイミングでちまちま食べられてとても良かった。夜行バスで折立に行くなら多分最後に寄るSAで売ってんじゃないかな。

薬師沢小屋のおいしい沢水(無料!)をありがたく補給して重たくなったザックとともに吊橋を渡ります。
f:id:eie0x0:20190921185752j:image

橋はしっかりした作りなので見た目ほど怖くないけど、渡った先は足場が狭く、すぐに長めの下りハシゴになるので、対岸の人とちゃんとコミュニケーション取らないと危ないかもしれん。
f:id:eie0x0:20190921185756j:image

実に綺麗な沢です。足を浸してのんびりしたくなっちゃうが…
f:id:eie0x0:20190921185816j:image

ここから始まります。雲ノ平への急登。
f:id:eie0x0:20190921185812j:image

急坂ガンバレ!はい。がんばります。
f:id:eie0x0:20190921185833j:image

話変わるけど高天原の♨︎フォント最高かわいいな。今回は時間なかったけど、次は高天原でのんびり温泉に浸かりたい。ワリモ岳あたりから眺めた高天原、実に別天地のような美しい立地でした。

 

話変えても道は変わってくれないので直登します。嫌だな〜怖いな〜

ひたすらこんな道が続くわけですが…

f:id:eie0x0:20190921192648j:image

結論から言うと、そんなに辛くなかった。

楽勝といえば嘘になるけど、個人的には初日の薬師峠〜薬師平のほうが断然しんどかった…。確かに展望なくて飽きやすいものの、苔むした感じが割と自分好みの道だったのと、ずっと樹林帯なおかげで直射日光がなく涼しかったのが功を奏したと思われる。薬師は晴天バリバリ日光オラオラな感じで干されるかと思った。まあ個人の好みの問題ですがこんな人もいますよということで。とはいえ、ジメッとしているため、かなり滑りやすい岩場なので神経使います。疲れている時や下山時には使いたくない道だなあ。

コースタイム2時間10分のところ1.5時間くらいで登り終え、木道末端に出た。山と高原地図の「木道末端」、これここから雲ノ平なんだろうな♡と思うじゃないですか、木道だし。実は全然まだ(私の思う雲ノ平では)ない。一瞬だけ木道が敷かれて、また再びほんの少しだけど樹林帯岩場が当時するので、ここまで苦でなくても若干心折れる。すれ違う人々が「もうすぐだからね!!」と超励ましてくれました。ありがとう。

もう一踏ん張りするとようやく!f:id:eie0x0:20190921192703j:image

雲ノ平!
f:id:eie0x0:20190921192655j:image

ついに着いてしまった。

人は死ななくても歩けば天国へ行けるのです。

あのお姉さんもここを歩いたのかな。

 

最初に出迎えてくれるのはアラスカ庭園、それから奥日本庭園。なるほど本当に庭園のように岩やハイマツの配された美しい場所です。

f:id:eie0x0:20190921192644j:image

険しい山々の中にあって、標高2500mの高みにこの広々とした台地。昔はここが木道すらない原野だったのか…

何も知らず北アルプス奥地に突然これが出てきたら言葉を失うだろうな。

f:id:eie0x0:20190921192722j:image

聳え立つ山々に抱かれた雲ノ平のなかでも、水晶岳の圧倒的な存在感。
f:id:eie0x0:20190921192640j:image

水晶かっこよすぎワロタ

今回一番登りたい欲が高まったのは水晶岳でした。次は絶対裏銀座ルートで登ろう…

 

雲ノ平山荘にチェックインし、一服。
f:id:eie0x0:20190921192636j:image

綺麗すぎか?

2010年に建て替えされたばかりらしいけど、そういうのとはまた別次元に綺麗でした…。自由が丘のカフェで〜すとか言って載せても疑われなさそう。

時間はまだたっぷりあるのでお散歩します。
f:id:eie0x0:20190921192730j:image

 

ここから水晶岳かっこよすぎワロタタイム
f:id:eie0x0:20190921192727j:image

この木道がこのままずっと水晶岳まで続いているんじゃないかなと思ってしまう。

f:id:eie0x0:20190921192700j:image

奥は赤牛岳。ほんとに赤いね。
f:id:eie0x0:20190921192710j:image

真っ青な空と黄金色の草紅葉が時折きらきらと漣を立てる。なんて綺麗なんだろう。
f:id:eie0x0:20190921192651j:image

なるほどここは天国かもしれない。

 

この地点から左を向くとスイス庭園があり、
f:id:eie0x0:20190921192733j:image

ここから見渡せるのは今朝までいた薬師岳立山への稜線。なんと、また滝雲になってる!!

昨日と似た天候だったようで、同じ雲海が流れ込む様を別アングルから観れるという超ラッキー。これは嬉しすぎる。こっち側から見るとこんなダイナミックな現象だったんだなあ。

高低差がまさに滝雲。ああ、本当にかっこいい…

f:id:eie0x0:20190921192706j:image

雲ノ平で一番気に入ったのがこのスイス庭園。この後も出てきますが暇さえあればスイス庭園でボーッとしていました。f:id:eie0x0:20190921192714j:image

 

雲ノ平、チングルマの群生っぷりが凄まじい。
f:id:eie0x0:20190921192736j:image

そよ風に揺れるチングルマの綿毛が溶岩との対比を際立てて、天国感をいっそう高めていました。

これ、お花畑シーズンに来たら圧巻だろうな…。

 

雲ノ平山荘、水晶岳をバックに。

f:id:eie0x0:20190921192739j:image

雲ノ平の時間はのんびり流れる。
f:id:eie0x0:20190921192718j:image

 

夕食にはここの恒例らしい石狩鍋をいただきました。登山客みんなで鍋を分け合うスタイル、楽しくてよいな〜!とても美味しかった。

f:id:eie0x0:20190921201104j:image

お腹を満たしたら雲ノ平の夕景が待っている。ご飯前にそそくさ準備しておいたアタックザックを掴んでお散歩へ。

 

続きます。

次回: 歩いて天国に行った ③雲ノ平の夕焼け - にっき